豆しとぎ(岩手県葛巻町)訛って「すっとぎ」
岩手県の葛巻町、森のそば屋さんにオーダーをしてわざわざ作って送ってもらった「すっとぎ」。
一緒に、フードジャーナリストの向笠千恵子さんが書いた「日本ローカルごはん紀行」に掲載されたコピーも入れてくださった。
向笠さんとは、先日ラジオ深夜便で丼のお話をされていたので、お電話でお話をしたばかりだ。
昔は旧暦十二月の年取りの日に山の神様に備えたものだという。家庭では冬から春にかけてのおやつで、新米と新大豆で作るそうだ。
原材料は、青大豆のものと黒大豆の2種類があって、それぞれに豆を一晩水につけてからすり鉢でつぶす。そして、うるち米の粉を混ぜて、砂糖と塩だけで味を調えてよくこね混ぜる。
葛巻町や二戸市、久慈市、八幡平市などの旧南部藩領のあたりは、夏にやませという冷たい季節風が吹くので、昔はお米がとれず、ひえ・粟・きび・麦・そば・大豆などを主食にしていたから、お米への憧れもあって、知恵を絞って作ったのが「しとぎ」訛って「すっとぎ」らしい。
青大豆の方は、いわゆる枝豆のずんだだから、枝豆風味だ。黒豆の方は青大豆ほど特徴がないので普通に地味においしい。
何一つ添加物を使わず、優しい仕上がりに、こういう昔の食べ物をしっかり伝えていきたいと思っているのだけれど、ここにも高齢化がきていて、伝承されないままに作れる人がいなくなってしまいそうなのだ。イベントのときとか、特別な時にしか作らないという。
間に合わなかったかーと、ひどくがっかり落ち込んだ。
ゆべしをとても美味しく作るお婆さんがいて、去年マルシェを始めてから連絡してみたら、ここも高齢化。もう年だから作っていないという。
こうやって、作る人がいなくなってしまうと、食べられなくなってしまうのだ。
だから、地元で郷土料理教室を主催して、首都圏から興味のある人たちを連れていって、一緒に作って食べて交流することをやりたかったのに、来年は出来るのかな~。
もっと早くに、もっと食べる人を増やして、もっと買って食べたい人を増やして、地元にお金をおとして、作り続けられる状況にできればよかったのに、力不足にため息が出る。自分自身も、高齢にひた走っているし。。。
冷凍で送ってくださるので、せめて少しまとめて注文をとって、まとめて送ってもらおうかな。と思った寂しい郷土料理の伝承のお話でした。
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